地機織りは腰をぴんと吊って織ります。ずっと腰を吊っていなければならないので、多少骨が折れます。一番苦労するのはまっすぐに織ること、気を抜くと曲がってしまいます。この織物の風合いに織る人の個性がストレートに出ます。
かけ糸とは一般の織機の針がね綜絖(そうこう)に相当するもので、木綿糸を使用し、下糸にのみ糸をかけ縦糸の半分だけが上下運動できるようにするものです。かけ糸により糸が摩擦でざらつきこれが紬の渋みにつながります。
地機ではこの杼を使用して横糸を強く打ちこみます。いい加減な気持ちで杼を打ち込んでいると、ひあい(糸と糸の間に隙間ができること、検査で不合格の対象になります。)ができるので気が抜けません。
当社では現在結城に於いてあまり使わなくなった竹筬(反物を製造する場合)を使用しています。竹筬は非常に軽く地機で織りやすいのですが、現在筬を製造している業者は結城にはいません。京都にいらっしゃるそうですが非常に高価ですので、使用しないみたいです。
高機の織機は腰を吊らずに織ることができるので、とても能率的に生地を織ることができます。当社では研究のため生地を織ってみました。現在は倉庫で眠っています。
本場結城紬高機の綜絖は針金綜絖です。この場合糸を綜絖に一本一本綜絖の穴に通していきます。とても大変な作業ですが,一度通してしまえば、次の時は糸を繋ぐだけなので能率的です。
高機では杼を使用しません。杼の代わりに大きなシャトルが杼の代わりをします。中に入っている横管は地機と同じものを使います。高機は地機と違って杼で横糸を打ち込む必要がない。四枚綜絖なので綾織りや朱子織りなどができる。
◇以上が地機と高機の違いを述べてきましたが、わかりやすく説明すれば、見た目はほとんど変わりはありませんが、布を織るスピードが全く違うと言う事です。同じ無地の反物を織る場合、地機が40日かかるとすれば、高機であれば13~5日で織り上げることができるというわけです。それと、地機では、あの重くてかたい杼で強く打ち込むので布密度は高機より高いということです。最後に地機は下糸だけ上げ下げする片糸綜絖であり、高機では機械織りと同じ構造なんです。
地機の無地、縞の生産反数は年間165反
高機の無地、縞の生産反数は年間636反 平成25年度実績